日本のホテル滞在レビュー#16|アンダーズ東京|虎ノ門に浮遊する和の居

SINGLEMAN’S HOTEL LIFEへようこそ。 ホテルを起点に世界を旅し、その土地で出会った景色や建築、食や文化──そんな旅の破片を綴っている。

今回は、東京にあるホテル「アンダーズ東京(Andaz Tokyo)」の滞在レビューをお届けする。2014年に誕生してから10年以上経ち、東京の外資ホテルの中でもすっかりベテランになってきた感じもあるが、私自身は初めての訪問で、近くのレストランにディナーへ訪れた際に滞在することにした。

それでは、行ってきます。

目次

旅の情景

和紙、木、石──馴染みある素材が、違う表情を見せる。
日本らしさを語るのではなく、その感覚だけをすくい取る。
伝統は形ではなく、光や手触りの中に潜んでいる。
ここには、現代の東京が考える「和」がある。

初めて来たと思っていたけれど、このエレベーターには乗ったことがある。

ひとつのアートワークが記憶をふっと蘇らせる。

エレベーターの扉を開くとそこはアンダーズ東京の和の世界。

窓の外には生憎の灰色の空と東京のビル群。

けれど、無機質な外の景色と和紙やガラスを通した暖かな光のコントラストが際立つ。

直線が支配する室内は日本的な余韻。

その凛としたリズムが心地よい。

遅めに起きて朝ごはん。

エッグベネディクトがあればいつもごきげん。

Season – Autumn, 2025
Room Category – Bay View King

シングルマンシュラン🌟🌟🌟🌟— 8.2 / 10 Very good


シングルマンシュラン定義
🌟🌟🌟🌟🌟: その国/地域に行く目的になるホテル
🌟🌟🌟🌟  : その国/地域を訪れた際は泊まりたいホテル
🌟🌟🌟    : その国/地域を訪れた際は候補の1つとして検討したいホテル
🌟🌟    : その国/地域を訪れた際に他に候補がなければ選んでもよいホテル
🌟      : その国/地域を訪れても選ばないホテル

※詳細な評価基準についてはこちらを参照してほしい。
※これまで訪れた全ホテルのレビュースコアをまとめたものはこちらを参照してほしい


とてもパーソナルな感想であるが、私がホテルに求める一つの要素は「その土地との接続性」だ。その土地の文化や伝統、歴史を包摂し、その土地と繋がっているような感覚。ただし、これは東京を除くという注釈がつく。なぜなら私は東京に住んでいて、東京はとても馴染みがある場所からだ。だから東京にいるときに限っては、いつも繋がっている東京からの「隔絶」を求めてしまう。これは、単に地上からの距離だけではない。そのホテルの空間が東京という場所から隠れているような感覚をもたらしてくれるか。

そして、アンダーズ東京は接続と隔絶のちょうど間にある、私にとってはそんな印象なのだ。なんというか東京に浮遊している感覚。もちろん、これは主観的な感覚なのだが、そこが私が求めているものとは少し方向性が異なるのかもしれない。ちなみに私にとって完璧な隔絶をもたらしてくれるのは、同じハイアット系列の「パークハイアット東京」だ。

評価詳細(各5点満点)

コストパフォーマンス:2点

アンダーズ東京は「ラグジュアリーライフスタイルホテル」を掲げており、ラグジュアリーホテルとライフスタイルホテルの中間に位置するような存在だ。ゆえに、料金も一般的なライフスタイルホテルより高く、時期によってはラグジュアリーホテルに迫る。

この価格帯がなかなか悩ましい。客室や設備のクオリティは高いものの、価格に見合う特別な体験があるかというと、個人的にはやや物足りなさを感じた。東京には同価格帯で魅力的なラグジュアリーホテルも多く、あえてアンダーズ東京を選ぶ理由を見出しにくいというのが正直なところだ。

アクセス:4点

虎ノ門ヒルズ駅直結。雨の日でもほぼ濡れずにアクセスできるのは大きなメリットだ。

一方、虎ノ門ヒルズ駅は東京メトロ日比谷線の1路線のみ。銀座や六本木方面へのアクセスは良いものの、都内の主要ターミナルから向かう場合には乗り換えが必要になることも多く、個人的には電車でのアクセスに若干の不便さを感じる立地だった。

ソロフレンドリー:3.5点

ひとりでの宿泊に不便を感じることはなく、客室で静かに過ごす分には快適だ。

一方、レセプションやラウンジエリアは多くのゲストが行き交い、時間帯によっては比較的賑やかな印象。ひとりでホテルの空気に浸りながら静かに過ごす、というタイプのホテルではないように感じた。

キュイジーヌ:3.5点

今回は朝食のみ利用した。

朝食は51Fのメインダイニング「ザ タヴァン グリル&ラウンジ」でいただける。セミブッフェスタイルで、卵料理などはアラカルトで注文可能。ブッフェには洋食から和食まで幅広く並び、品数も十分だ。

料理そのものに大きな不満はなく、ホテル朝食としての水準はしっかり満たしている。一方で、利用客が多いためか時間帯によっては若干慌ただしい雰囲気も感じた。朝食そのものを滞在のハイライトとして楽しむというより、充実したラインナップを便利に楽しめる朝食という印象だ。

クリーンネス&ファシリティー:4.5点

設備面は非常に充実している。メインダイニングのほか、バーや寿司店など複数の飲食施設があり、ホテル内で過ごす選択肢は多い。

スパ、ジム、プールも備え、サウナまで利用できるのは嬉しいポイント。開業から年数は経っているものの、館内や客室はよくメンテナンスされており、清潔さについても申し分ない。都心の高層ホテルとして、ハード面の完成度はかなり高い。

ホスピタリティ:3.5点

インバウンド需要の高いホテルということもあり、スタッフは国際色豊か。日本人ゲストであっても、日本語を母語としないスタッフに接客していただく場面が何度かあった。もちろん、それ自体がサービスの良し悪しを決めるものではない。ただ、細かなニュアンスがうまく伝わらない場面もあり、日本語でのコミュニケーションに若干のストレスを感じることはあった。サービス全体として大きな不満はないものの、東京のラグジュアリーホテルに期待する細やかさという点では、もう一歩という印象だ。

一方、夕方にはレセプションエリアでアルコールを含むドリンクとスナックが無料で提供される。クラブラウンジを設けず、すべての宿泊者が気軽に楽しめるこうしたサービスはアンダーズらしく、ちょっとしたおもてなしとして嬉しい。

センス&ユニークネス:4点

アンダーズ東京のデザインには、世界的に活躍するトニー・チー氏と緒方慎一郎氏が携わっている。日本では、トニー・チー氏はパーク ハイアット 京都、緒方慎一郎氏は山荘 無量塔など、日本を代表する宿の空間づくりにも関わってきたデザイナーだ。

館内には和紙や木、石といった日本的な素材が随所に使われている。それでいて、記号的な「和」に寄りすぎていないところはさすがだ。現代的な高層ホテルの空間に日本の素材や美意識を自然に溶け込ませており、海外からのゲストには日本らしさを、日本のゲストには見慣れた素材の新鮮な解釈を感じさせてくれる。

完成度の高いデザインであることは間違いないが、「ここでしか味わえない場所性」という点では、個人的にはもう一歩。その意味で、非常に洗練されているものの、強烈に記憶へ残るホテルとまでは感じなかった。

予約ガイド

このホテルは複数の予約サイトで取り扱われている。使い慣れたサイトからチェックしてほしい。

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※予約サイトの考え方はこちら


ホテル基本情報

項目 詳細
ホテル名 Andaz Tokyo Toranomon Hills(アンダーズ 東京)
ホテルブランド Andaz
ホテルグループ Hyatt Hotels
プライスカテゴリー アッパー
客室数 全164室
食事
  • ザ タヴァン グリル&ラウンジ:51階に位置するメインダイニング。グリル料理を中心に、朝食・ランチ・ディナーを提供
  • ルーフトップ バー:52階から東京の夜景を望むバー。季節のフルーツやお茶を取り入れたカクテルを提供
  • the SUSHI:52階、わずか8席のカウンターで江戸前寿司のおまかせコースを提供
  • ペストリー ショップ:虎ノ門ヒルズ森タワー1階。ケーキや季節のスイーツを提供
  • 24時間対応のルームサービスあり
チェックイン/チェックアウト時間 チェックイン 15:00〜 / チェックアウト 〜12:00
特徴的な設備やサービス
  • 虎ノ門ヒルズ森タワー47〜52階に位置する高層ライフスタイルホテル
  • ニューヨークのトニー・チーと日本の緒方慎一郎がインテリアデザインを担当
  • 51階のアンダーズ ラウンジでは、宿泊者にソフトドリンクやスナックを提供。夕方にはワインとカナッペも楽しめる
  • AO スパ&クラブ:20mプール、フィットネスセンター、スパトリートメント施設を備える
  • 客室内ミニバーのソフトドリンクとスナックが無料
  • 和紙やウォールナットなど日本の素材感を取り入れた現代的なインテリア
所在地 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-23-4 虎ノ門ヒルズ森タワー

アクセス
  • 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」B1出口より地下通路直結、徒歩約3分
  • 東京メトロ「霞ケ関駅」A12出口より徒歩約8分
  • JR・東京メトロ「新橋駅」烏森口より徒歩約11分
  • 東京駅から地下鉄利用で約20分
  • 羽田空港から鉄道・タクシー等で約40分

終わりに&次なる旅の破片

アンダーズ東京、いかがだっただろうか?日本的な美しさを随所に感じられる空間だった。ホテルのみなさま、迎えてくださってありがとうございました。

この記録があなたの旅の参考になれば嬉しい。


さて、次回は東京にあるフレンチ「unis」だ。特別なハレの日のためのレストランだ。

お届けは2026年9月19日予定だ。もし、この旅を気に入っていただけたなら、読者登録して、新しい旅の破片もそっと受け取っていただけると嬉しい。

では、また旅のどこかで。

新しい旅の破片を、そっとお届けします。

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