世界のホテル滞在レビュー#3|ヘリタンス カンダラマ|森に侵食された境界なき建築、それはラピュタの世界

森に浸食されたHeritance Kandalama

SINGLEMAN’S HOTEL LIFEへようこそ。 ホテルを起点に世界を旅し、その土地で出会った景色や建築、食や文化──そんな旅の破片を綴っている。

今回は、スリランカのダンブッラにあるホテル「ヘリタンス カンダラマ(Heritance Kandalama)」の滞在レビューをお届けする。偉大な建築家ジェフリー・バワの代表作であり、森と一体となった美しきホテル。学生の頃、このホテルを雑誌で見ていつか訪れたいとずっと夢見ていた場所だ。もうやくその夢が叶う。

それでは、行ってきます。

目次

旅の情景

緑は飾りではなく、侵食として存在する。
壁も構造も、ゆっくりと自然に取り込まれる。
完成は終わりではなく、始まりだった。
この建築は、時間によって変わり続ける
。

剥き出しの岩石がダイナミックなHeritance Kandalamaのエントランス
夢見ていた場所についに来た。ダイナミックなエントランスが優しく迎え入れてくれる。
自然と人工が融けあうHeritance Kandalamaの通路

大きなエントランスを抜け細い通路を進む。

ここでもうバワの魔法にかかっているのだ。

自然と人工、そのコントラストが最も際立っている場所。

ここから外たる自然と、内たる建築が融け合う世界に迷い込んでいく。

モノトーンに雄大な自然が映えるHeritance Kandalamaのラウンジ
モノトーンのラウンジに、緑や青が映える。
Heritance Kandalamaの周りには森と湖しか見えない。
建築が森に侵食された様はまさにラピュタの世界。神秘的な光景にここに来てよかったと思える。

恋焦がれたホテルだったから、少し贅沢な部屋を。
美しいスリランカの自然を独り占めできる。
陽を浴びた植物が落とす影の中で入るジャグジーはまるで天空の森に抱かれているよう
。
時折遊びにくるお猿さんも入りたそうだ。

Heritance Kandalama
Heritance Kandalama
自然の営みを感じることができる。耳をすませば、猿や鳥、木々の囁く声が静かに響く。

カンダラマの心臓部分にぽつんとバワの特等席dだった場所がある。

そこに座れば、シーギリヤを真正面に捉える。

ここであなたは何を感じ、何を考えていたのだろうか。

Heritance Kandalama
Heritance Kandalama
夕刻、どこからともなく笛吹が現れる。笛の音色に誰もがみなうっとりするマジカルタイム。
Heritance Kandalama

カンダラマでは、日中電気は使われない。
それでも、自然の光をめいっぱい取りこんでいるため不自由はない。
人が自然とともに生きていくこと、否応でもそんなことを考えさせられる。
朝、早起きして美しい光を探してみよう。

Heritance Kandalama
Heritance Kandalamaの庭は象の通り道にもなっている
別れを惜しむように発つ前にホテル内を巡る。また必ず戻ってくる。

Season – Summer, 2024
Room Category – デラックスルーム

シングルマンシュラン 🌟🌟🌟🌟🌟— 9.3 / 10 Exceptional


シングルマンシュラン定義
🌟🌟🌟🌟🌟: その国/地域に行く目的になるホテル
🌟🌟🌟🌟  : その国/地域を訪れた際は泊まりたいホテル
🌟🌟🌟    : その国/地域を訪れた際は候補の1つとして検討したいホテル
🌟🌟    : その国/地域を訪れた際に他に候補がなければ選んでもよいホテル
🌟      : その国/地域を訪れても選ばないホテル

※詳細な評価基準についてはこちらを参照してほしい。
※これまで訪れた全ホテルのレビュースコアをまとめたものはこちらを参照してほしい
。


必ずまた還ってくる。それほど、心が揺さぶられた。
見渡す限りに広がる森の中で感じるスリランカの自然の力。建築は主役ではなく、自然との媒介者になって、私たちを包む。ここで過ごす時間は何物にも替えがたい。

評価詳細(各5点満点)

コストパフォーマンス:4点

この素晴らしいホテルにリーズナブルな価格で泊まれるのは嬉しい。ただやはり1泊では十分にこのホテルの良さを味わえないので最低2泊はしたいところ。なお、カンダラマでは部屋選びが肝要だ。ヘリタンス カンダラマは横に1キロもある非常に大きなホテルで、部屋によって展望も大きく異なる。

大きくはエントランスを中心にして、左右にシーギリヤ・ウイングとダンブッラ・ウイングに分かれる。シーギリヤ・ウイングは眺望の良い部屋を選べば、世界遺産シーギリヤが見えるが、ダンブッラ・ウイングからは、世界遺産ダンブッラ石窟寺院は見えないので名前につられてはいけない。そのため、シーギリヤ・ウイングの部屋がおすすめだ。

次に、カンダラマのルームカテゴリーは、スーペリア、パラノミック、ラグジュアリー、ラグジュアリーパラノミック、デラックス、スイート、ラグジュアリースイート、ロイヤルスイートの7つ。若干名前がややこしいが、後ろにいくほどハイクラスの位置付けだ。カンダラマは眺望が見どころの一つなので、展望が良いパラノミックかデラックス以上(すべて展望が良い)の部屋がおすすめだ。

アクセス:2点

スリランカの丁度中央部分に位置しており、コロンボから車で4~5時間とアクセスは悪い。列車やバスを乗り継いでも行けるが、この場合は通常キャンディなどで1泊することになりさらに時間がかかるため、車で行くのがおすすめ。

車の場合の留意点としてはヘリタンス カンダラマの周辺は道が舗装されていないので、最後15分くらいは車がかなり揺れるため酔いやすい人は注意が必要。なお、多くのバワ建築が、西から南の海岸沿いにあるが、ここだけ外れた場所なので、バワ建築巡りをする場合は順序をしっかり計画すべき。シーギリヤやダンブッラ石窟寺院が比較的近いので合わせて予定を組みたい。

ソロフレンドリー:3.5点

全152部屋とやや大きめのホテルなので、団体客が多い。

特に中国人のツアー客が押し寄せているようで、20~30人の団体客がいくつもいるような状態。当然、レストランは騒々しく雰囲気が台無し。ただ、レストランは一人、または二人の宿泊者に湖を一望できる眺めの良い窓側の席を割り当てているようなので、良い席を取られることはない。

ただ、団体客は建築にはあまり興味がないのか、共用部は驚くほど静かなので、レストランさえ我慢すれば、その他は静かだ。共用部にはたくさんの椅子が置かれているので、お気に入りの場所を探すのも楽しいし、一人でもリラックスして過ごせる。

キュイジーヌ:3点

朝夕ともにブッフェのみ(ランチはアラカルトでオーダーできるレストランがある)。

さらにカンダラマは森の中にポツンとあるので、街に出て食べるという選択肢はなく、ここで食べざるを得ない。味は悪いわけではないし、種類もたくさんあるが、メニューも日によって変わるが、連泊した時に毎日ブッフェはやや食傷気味になってしまうかもしれない。なお、洞窟の中で食事を楽しめるcave dinnerというオプションもある。

クリーンネス&ファシリティー:4点

ホテル内はとても清潔に保たれている。後述するが、このホテルは壁がなく、森に覆われている。そのため、外からは落ち葉が入ってくるし、猿も敷地内を闊歩している。そのような環境なのに、廊下に落ち葉や猿のフンが落ちていない(正確に言うと、テラスに猿のフンは落ちていたりもしたが、すぐに掃除されていた)。雨が降っても廊下がびしょびしょになっていない。これはひとえにホテルスタッフの努力のおかげだろう。

都市からは隔絶された森の中にあるにも関わらず、たくさんのプール、ジム、スパなど設備も充実している。

ホスピタリティ:4点

ホテルのマネージャーにバワが好きだと伝えると、実際にホテルを案内しながらバワにまつわる話をしてきれたり、見どころを教えてくれた。ゲストは、入れないバックヤードも見せてくれたり、とても親切にもてなしてくれた。こういう体験は心に残るよな。

他にも、館内で写真を撮りながら歩いていると、「写真撮りましょうか?」と声をかけてくれてたくさん写真を撮ってくれたり、みなさん総じて親切な印象だ。

センス&ユニークネス:5点

境界なき建築。建物には壁がなく、そとの自然と繋がっている。自然と人工の境界は極めて曖昧だ。長い時間をかけてホテルは蔦に浸食され、境界をさらに融かしてゆく。それは、まるでラピュタの世界だ。動物たちも境界がないように振る舞い、自然との「共存」がここほど感じられるホテルは稀だろう。

バワは自分が死んだあとのカンダラマの姿も思い描いて設計したはずだ。だからこそ、時の経過とともにその魅力は増していくし、これから先、この場所がどう変化していくのかとても楽しみだ。もし人間が滅びたとしてもここは自然の住処であり続けるだろう。

このようなホテルは唯一無二で、ここでしか味わない特別な時間をもたらしてくれる。このホテルに滞在するためだけにスリランカを訪問する価値がある。

予約ガイド

このホテルは複数の予約サイトで取り扱われている。使い慣れたサイトからチェックしてほしい。

※本ページにはアフィリエイトリンクを含みます。
※予約サイトの考え方はこちら


ホテル基本情報

項目 詳細
ホテル名 ヘリタンス カンダラマ(Heritance Kandalama)
ホテルブランド Heritance Hotels & Resorts
ホテルグループ Aitken Spence Hotels
プライスカテゴリー ミドル
客室数やタイプ 全152室
食事
  • 「Kanchana Restaurant」:各国料理とスリランカ料理のビュッフェ
  • 「Kaludiya Restaurant」:アラカルト&高級ダイニング
  • 「Café Kachchan」:軽食とスナック
  • 「Kanchana Bar」:カクテル、ワイン等
チェックイン/チェックアウト時間 チェックイン:14:00、チェックアウト:12:00
特徴的な設備やサービス
  • 建築家ジェフリー・バワ設計の自然と共生する建築
  • インフィニティプール(シギリヤロックを望む)
  • アーユルヴェーダスパ、ジム、テニスコート
  • バードウォッチングやトレッキングなどのアクティビティ
  • エコホテルとして国際認証を取得
所在地 PO Box 11, Dambulla 21100, Sri Lanka

アクセス
  • バンダラナイケ国際空港から車で約3.5時間(約140km)
  • シギリヤロックから車で約30分
  • ダンブッラ中心部から約10km

その他のジェフリー・バワのホテル

もしあなたが他のジェフリー・バワホテルも気になっているなら、以下の記事がおすすめだ。全バワのホテルをまとめている。宿泊レビューもあるので、ぜひあなたの旅の参考にしてほしい。

あわせて読みたい
永久保存版|死ぬまでに訪れるべきジェフリー・バワの全ホテル|偉大な熱帯建築家の足跡を辿って バワの建築は「トロピカル建築」「熱帯建築」と呼ばれ、スリランカの美しい自然や文化を取り入れているのが特徴だ。

終わりに

ヘリタンス カンダラマ、いかがだっただろうか?長年恋焦がれた場所は、想像を超える美しい場所だった。あなたにもこの感動を味わってほしい。ホテルのみなさま、迎えてくださってありがとうございました。

この記録があなたの旅の参考になれば嬉しい。

新しい旅の破片を、そっとお届けします。

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