2026年|世界のベストホテル50|100位まで追って見えた、世界のホテルの現在地

SINGLEMAN’S HOTEL LIFEへようこそ。 ホテルを起点に世界を旅し、その土地で出会った景色や建築、食や文化──そんな旅の破片を綴っている。

2026年も「The World’s 50 Best Hotels(世界のベストホテル50)」の発表があった。今年も51〜100位までを含む100軒を独自に集計。前年順位、国、都市、ブランドなどのデータから、2026年の世界のホテル事情を読み解いていく。

目次

【2026年】世界のベストホテル50の完全リスト

今回発表された1~100位のランキングは以下の通りだ。

2025年2026年ホテル名都市名
11Rosewood Hong KongHong Kong
32Capella BangkokBangkok
23Four Seasons Bangkok at Chao Phraya RiverBangkok
64Atlantis The RoyalDubai
45PassalacquaComo
246Rosewood São PauloSao Paulo
147Mandarin Oriental QianmenBeijing
108Upper House Hong KongHong Kong
89Chablé YucatánChocholá
710Mandarin Oriental BangkokBangkok
2511Aman TokyoTokyo
912Four Seasons FirenzeFirenze
1613Claridge’sLondon
2314Hôtel de CrillonParis
2015Jumeirah Marsa Al ArabDubai
1216Capella SydneySydney
517Raffles SingaporeSingapore
8218Casa Maria LuigiaModena
1919Le BristolParis
2120Cheval Blanc ParisParis
1821Desa Potato HeadBali
6822San Ysidro RanchSanta Barbara
3923One&Only MandarinaRiviera Nayarit
1524Bulgari TokyoTokyo
4425Las Ventanas al ParaísoLos Cabos
1326Royal MansourMarrakech
1727Four Seasons Astir PalaceAthens
3128Raffles London at The OWOLondon
1129Copacabana PalaceRio de Janeiro
3830The Taj Mahal PalaceMumbai
New31The Peninsula IstanbulIstanbul
2232Bulgari RomaRoma
New33Patina OsakaOsaka
7334Mount NelsonCape Town
5635Nihi SumbaSumba Island
5236Badrutt’s PalaceSt. Moritz
5937Park Hyatt KyotoKyoto
2738Hôtel du CouventNice
9939Portrait MilanoMilan
3640Hôtel de Paris Monte-CarloMonte-Carlo
8041Plaza AthénéeParis
4942Hotel Sacher ViennaVienna
4743Estelle ManorWitney
5744Hotel du Cap-Eden-RocAntibes
9845AmangiriCanyon Point
5446The Peninsula Hong KongHong Kong
3347MaromaRiviera Maya
New48Aman Nai LertBangkok
2949The ConnaughtLondon
New50San Domenico PalaceTaormina
ReEntry51La Réserve ParisParis
3752Janu TokyoTokyo
New53Park Hyatt TokyoTokyo
8754Palacio NazarenasCusco
2855Soneva FushiMaldives
New56Rosewood LondonLondon
4257Hotel Bel-AirLos Angeles
New58Il San Pietro di PositanoPositano
4159Mandarin Oriental Hong KongHong Kong
8360SplendidoPortofino
5061MandapaBali
New62Castiglion del BoscoMontalcino
New63Sofitel Legend Casco ViejoPanama City
ReEntry64Hotel EsenciaTulum
6565The Beverly Hills HotelLos Angeles
New66Orient Express La MinervaRome
6767Montage Los CabosCabo San Lucas
New68Forestis DolomitesBrixen
New69The OkuraTokyo
6270Rosewood BangkokBangkok
9771AmangallaGalle
New72Ritz ParisParis
New73Palace Hotel TokyoTokyo
5574Four Seasons TamarindoLa Manzanilla
3075La MamouniaMarrakech
9676MaçakızıBodrum
7677Hotel das CataratasIguassu Falls
7578The Fifth Avenue HotelNew York
4679Hotel The MitsuiKyoto
New80Carlton CannesCannes
New81Capella HanoiHanoi
8882Huka LodgeTaupo
3483The CalileBrisbane
5384Borgo SantandreaAmalfi
ReEntry85Hoshinoya TokyoTokyo
8686Four Seasons Hong KongHong Kong
6187Aman New YorkNew York
6388Borgo EgnaziaSavelletri
New89Waldorf Astoria OsakaOsaka
New90Mandarin Oriental ShenzhenShenzhen
New91Villa TrevillePortofino
7792The Greenwich HotelNew York
ReEntry93The Maybourne RivieraRoquebrune-Cap-Martin
9394The JohriJaipur
8195ReschioLisciano Niccone
New96Wynn PalaceMacau
ReEntry97Capella SingaporeSingapore
New98The Oberoi UdaivilasUdaipur
New99The Peninsula ShanghaiShanghai
78100GleneaglesAuchterarder

※本記事では51〜100位を含む100軒を独自に集計しているため、「New」「Re-Entry」の定義は公式ランキングと異なります。前年51〜100位にランクインしていたホテルが今年50位以内に入った場合、公式ではNewまたはRe-Entryと表記されることがありますが、本記事では前年からの継続ランクインとして扱っています。

データから読み解く「世界のベストホテル100」

ここからは、発表された100軒のホテルを少し違った角度から眺めてみたい。

ランキングを上から順番に追うだけでももちろん面白い。ただ、国や都市、ブランド、そして前年順位といった情報を加えてみると、個々のホテルだけを見ていては気づかなかった世界のホテル事情が浮かび上がってくる。どの国に優れたホテルが集まっているのか。どの都市がホテル都市として存在感を増しているのか。世界的なホテルブランドはどれほど強いのか。そして、昨年から勢力図はどう変わったのか。

そんな風に、2026年の100軒を、いくつかの切り口から読み解いてみよう。

地域別|「頂点のアジア」と「層の厚いヨーロッパ」

まず地域別に見てみると、2026年はアジアから38軒、ヨーロッパから37軒がランクインした。この2地域だけで全体の75%を占める。世界のホテルシーンにおいて、アジアとヨーロッパが二大勢力であることは今年も変わらない。

ただし、ランキングの「どこにいるのか」まで見ると、両者の性格にはかなり違いがある。トップ10だけを抜き出すと、実に7軒がアジアのホテル。一方、ヨーロッパはわずか1軒である。ところがトップ50まで範囲を広げると、ヨーロッパ21軒に対してアジア18軒と逆転する。つまり、100軒という数だけならほぼ互角でも、その分布は同じではない。

世界最高峰の座を争うホテルが集中するアジア。一方で、上位から中位まで幅広くホテルが分布するヨーロッパ。2026年のランキングから見えてくるのは、いわば「頂点のアジア」と「層の厚いヨーロッパ」という構図である。1位のRosewood Hong Kong、2位のCapella Bangkok、3位のFour Seasons Bangkok at Chao Phraya Riverを筆頭に、アジアのホテルがトップ10を席巻している光景は象徴的だ。

ラグジュアリーホテルといえば、長い歴史を持つヨーロッパのグランドホテルを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、少なくともこのランキングを見る限り、その頂点は明らかにアジアへと広がっている。

国別|「ホテル王国」イタリア、そして急伸する日本

国別で最も多くのホテルを送り込んだのは、今年もイタリアだった。その数は15軒。昨年の13軒からさらに増えているPassalacqua、Four Seasons Firenze、Bulgari Romaといった上位ホテルから、地方に点在するリゾートまで顔ぶれも幅広い。特定の一都市に依存せず、各地に優れたホテルが存在していることもイタリアの強さだろう。

そして今年、何より目を引くのが日本である。昨年は7軒だった日本勢が、2026年には11軒まで増加。フランスの10軒を上回り、イタリアに次ぐ世界2位となった。しかも11軒のうち、Patina Osaka、Park Hyatt Tokyo、The Okura、Palace Hotel Tokyo、Waldorf Astoria Osakaの5軒がNew Entryである。既存ホテルの順位が上がっただけではなく、新たなホテルが一気にランキングへ入ってきたことが日本躍進の大きな要因になっている。トップ100という視点から見れば、2026年は世界のホテルシーンにおける「日本」の存在感が一段階変わった年といってもよさそうだ。

一方で、ここには少し面白い数字もある。日本勢11軒の平均順位は55.0位。最多15軒を誇るイタリアも55.2位である。それに対して、タイはランクインこそ5軒ながら平均順位26.6位。トップ10だけでも3軒が入っている。つまり、ランクイン数が多いことと、ランキング上位を占めることは必ずしも同じではない。

量と厚みで圧倒するイタリアと日本。少数精鋭で頂点を争うタイ。単純なランクイン数だけでは見えない、それぞれのホテル大国の性格が表れているのではないだろうか。

都市別|バンコクから東京へ。世界一の「ホテル都市」はどこか

昨年のランキングで、最も多くのホテルを送り込んだ都市はバンコクだった。2026年、その座を奪ったのが東京である。東京からは7軒がランクイン。続いてパリ6軒、バンコクと香港がそれぞれ5軒、ロンドン4軒、ニューヨーク3軒となった。軒数だけを見れば、2026年のランキングにおける世界最大の「ホテル都市」は東京ということになる。

ただ、ここでも順位まで見ると景色が変わる。

東京はAman Tokyoの11位を筆頭に、Bulgari Tokyo、Janu Tokyo、Park Hyatt Tokyo、The Okura、Palace Hotel Tokyo、Hoshinoya Tokyoと、100位まで幅広い位置にホテルが分布している。対してバンコクは2位Capella Bangkok、3位Four Seasons Bangkok at Chao Phraya River、10位Mandarin Oriental Bangkokと、世界のトップ10だけで3軒を占める。

東京は多様なホテルが厚く存在する都市。バンコクは世界最高峰クラスのホテルが異様なほど集中する都市。同じ「ホテル都市」でも、その強さの形はずいぶん違う。

さらに日本全体を見れば、東京だけではない。大阪からPatina OsakaとWaldorf Astoria Osaka、京都からPark Hyatt KyotoとHotel The Mitsuiがランクインしている。イタリアほど地方へ分散しているわけではないが、「東京だけの日本」から少しずつ変化していることも興味深い。

ブランド別|AmanからRosewoodへ。ブランドの勢力図にも変化

ホテルブランド別のランキングにも変化があった。昨年、最も多くのホテルを送り込んだブランドは8軒のAmanだった。ただし昨年の記事でも触れたように、その最高位はAman Tokyoの25位。軒数では圧倒的でありながら、ランキング上位には意外なほど少ないという特徴があった。

2026年、Amanのランクインは5軒に減少した。代わって最多となったのが、7軒を送り込んだRosewoodである。しかもRosewood Hong Kongが世界1位。Rosewood São Pauloも6位に入り、7軒の平均順位は33.4位となった。続くFour Seasonsは6軒、AmanとBelmondがそれぞれ5軒、Mandarin Orientalが4軒。単純な軒数だけでなく、どの順位帯にホテルを送り込んでいるのかまで考えると、2026年のRosewoodの強さは際立っている。

そして、もうひとつ面白いのが、こうした巨大ブランドだけがランキングを支配しているわけではないことだ。今回SHLで独自にブランド別に整理したところ、100軒のうち特定のホテルブランドを冠するものは46軒。残る54軒はブランド欄に分類していない。もちろん、これは54軒すべてが完全な独立系ホテルという意味ではない。運営会社やコレクションとの関係など、ホテルの所属をどこまで「ブランド」と捉えるかによって数字は変わる。

それでも、世界最高峰のホテル=世界的大手ブランド、という単純な図式ではないことは確かだろう。Passalacqua、Casa Maria Luigia、Desa Potato Headなど、ランキング上位にもそれぞれ固有の名前と世界観を持つホテルが並ぶ。ブランドが約束する安心感とは別のところで、そのホテルにしかない体験をつくる。世界のベストホテルを眺めていると、ホテルという存在の面白さはむしろそこにあるようにも思える。

前年比|100軒はどれくらい入れ替わったのか

今年は前年順位もデータに加えてみた。すると、単年度のランキングだけでは見えなかった激しい動きが見えてくる。

なかでも目を引くのがCasa Maria Luigia。2025年の82位から、一気に18位まで順位を上げた。64ランクアップである。Portrait Milanoも99位から39位へ60ランク上昇。Amangiriは98位から45位、San Ysidro Ranchは68位から22位へと大きく順位を上げている。

もちろん、この順位変動をそのまま「ホテルの質が1年間で劇的に向上した」と捉えるべきではないだろう。The World’s 50 Best Hotelsは投票によって決まるランキングであり、新しいホテルの登場や投票者の宿泊経験、その年の注目度などによって相対的な順位は変化する。だからこそ、順位そのものよりも「世界のホテルシーンで、いまどこに視線が集まっているのか」を見る指標として捉えるほうが面白い。

そして2026年は、New Entryが22軒、Re-Entryが5軒(※)。実に100軒中27軒が、前年とは異なる形でランキングに加わったことになる。さらにNew Entry 22軒の国を見ると、イタリアが6軒、日本が5軒。この2か国だけで半数を占める。イタリアと日本が国別ランクイン数で1位、2位となった背景には、もともとの層の厚さだけでなく、ランキングへ新しいホテルを供給し続けていることもある。

世界のベストホテル100は、意外なほど固定されたランキングではないのだ。

※なお、ここでいうNew EntryやRe-Entryは公式発表とは定義が異なる。公式ランキングはあくまで1〜50位を対象としているため、前年51〜100位だったホテルが今年50位以内に入るとNewまたはRe-Entryとして扱われる場合がある。本記事では51〜100位も含めて前年から追跡しているため、そうしたホテルは「継続」として集計した。

2026年のランキングから見えてきたもの

100軒を国、都市、ブランド、前年順位といった数字に分解してみると、2026年のホテルシーンにはいくつかの異なる潮流が同時に存在していることがわかる。

トップ10を席巻するアジア。

15軒を送り込み、ホテル王国として圧倒的な厚みを見せるイタリア。

7軒から11軒へと急増し、そのイタリアを追う日本。

そして、世界1位を擁してブランドとして存在感を増すRosewoodの一方で、ランキングの半数以上を占める、ひとつのブランド名では括れないホテルたち。

「どのホテルが世界一なのか」という問いだけなら、ランキングの一番上を見れば答えは出る。けれど100軒まで視野を広げ、その数字を少し違った角度から眺めてみると、もっと面白いものが見えてくる。どんな場所にホテルが生まれ、どんなホテルに世界の旅人の視線が集まり、そしてその視線がどこへ移ろいつつあるのか。ランキングとは優劣を決める表であると同時に、その時代の旅の気分を映すものなのかもしれない。

新しい旅の破片を、そっとお届けします。

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