旅のエッセイ#4~聖なる朝の清め

スリランカの旅を通じて、なんだか好きだった光景がある。それは、ホテルでの早朝の掃除だ。

この旅では、スリランカの偉大な建築家、ジェフリー・バワのホテルを巡ることが一つの目的だったのだが、バワ建築には「外」と「内」の境界がない。自然が建築へ入り込み、建築もまた自然へ溶け込んでいく。だから夜が明けると、スコールや風が運んできた落ち葉や花びらが、中庭や回廊を静かに埋め尽くしている。それは、これら建築の宿命なのだ。

夜明けとともに、腰にサロンを巻いた男たちが箒を手に現れる。そう、なぜか掃除をしていたのは、いつも男性だった気がする。

―さっ、さっ、さっ

規則正しい箒の音だけが、澄んだ朝の静寂に響く。そうして一枚ずつ自然の落とし物が集められ、建築がゆっくりと整えられていく。その光景を眺めていると、掃除というより、一日の始まりを迎えるための儀式のように思えてくる。あるいは、建築を静かに清める祈りのようにも。

その朝の時間が、たまらなく美しかった。

新しい旅の破片を、そっとお届けします。

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