
他の美術館とは全く異なるユニークな空間だ
ごきげんよろしゅう。ホテル偏愛家のシングルマンだ。自身の審美眼に従って世界の美しいホテルを巡り、その旅の破片を記している。
今回は、デンパークののコペンハーゲンにある「システアナ美術館 」をお届けする。ここは、1856–59年ごろに建設された給水用の巨大貯水池を機能停止に文化施設にした場所。湿度ほぼ100%で光はほぼないというユニークな空間を用いて様々なインスタレーションが行われている。
それでは、行ってきます。
旅のフラグメント
公園のざわめきが、遠ざかってゆく。
冷たい空気と滴る水の音が、時間の輪郭をぼかす。
暗闇がどこまでも続く。
ただ残響がその深淵を物語る。

Søndermarkenを通って美術館へ向かう。新緑が美しく、通りぬける微風が心地よい。
システアナ美術館は公園にあるガラスのピラミッドが目印だ。この小さな目印からは地下の巨大空間は全く想像できない。
地下への階段を下りていくにつれ、光はなくなり、冷たい空気に包まれていく。この先にいったい何があるのか。


想像以上に巨大な空間だ。視界は暗闇を捉えるのみだが、足音の響き方でその巨大さを感じる。
目を凝らして柱や壁をじっとみると、長い年月を部屋場所であることがわかる。
そこに展示される作品もまた昔からそこにあるような重みを感じる。
今期は、Jakob Kudsk Steensenによる “Psychosphere”





地上に上がる。緊張の糸を解くようにふうっと息を吐く。
デンマークのいつもの日常に戻ってきた。
時期:Summer 2025
記憶の一筆
そこは暗闇の中で五感が研ぎ澄まされていくような感覚。
まるで何かに見つからないように息を殺して、慎重に歩を進める。
ここでは空間全体がインスタレーションになっているのだ。
旅のスポット基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
美術館名 | Cisternerne(システアナ) ※英名:The Cisterns |
所在地 | Roskildevej 25A, 2000 Frederiksberg, デンマーク |
アクセス | Søndermarken内(Frederiksberg Palace/動物園の反対側)。現地サインとガラスのピラミッドを目印に |
開館時間 | 火~日 11:00–18:00(木~20:00)/月曜休館 ※冬季は概ねクローズ |
注意事項 | 薄暗く足元が濡れる箇所あり(欄干なしの通路も)。上着・防水性の靴推奨。館内トイレなし/車いす不可 |
入場料金 | DKK 120(コペンハーゲンカードで入場可能) |
終わりに
システアナ美術館、いかがだっただろうか?
使われなくなった場所をうまく文化施設に転用した好例だと思う。ユニークな体験をぜひ。
この記録があなたの旅の参考になれば嬉しい。
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