
北欧デザインが好きになったきっかけとなったのがフィン・ユールだ
ごきげんよろしゅう。ホテル偏愛家のシングルマンだ。自身の審美眼に従って世界の美しいホテルを巡り、その旅の破片を記している。
今回は、デンマークのコペンハーゲンの少し北オードロップにある「フィン・ユール邸」をお届けする。デンマークを代表する家具デザイナー兼建築家 フィン・ユール(Finn Juhl, 1912–1989) が、
自らの設計思想と美学を具現化した自邸兼アトリエ。学生の頃、フィン・ユールの椅子の美しさに魅せられたことが北欧デザインにハマるきっかけとなった。それゆえ、このフィン・ユール邸を訪問することはひとつの夢だったのだ。
それでは、行ってきます。
旅のフラグメント
光が落とす木々の影が、壁をやさしく撫でている。
主人のいなくなった椅子が、静かに時を刻み続ける。
家具も建築も植物も、ひとつの旋律を奏で、
「暮らし」という言葉が、芸術のように響いていた。


周囲を森に囲まれた静かな場所にフィン・ユール邸はある。オードロップゴー美術館で受付を済ませるやいなや、美術館より先にここへきた。
邸宅内は静寂そのもので、見学者の足音だけが響く。
家のどの場所にも窓があり、どの時間帯であっても光が入るように造られている。
窓の外には緑があり、風に揺られる植物たちの影が、景色に優しい表情を生む。





ここでの暮らしを想像してみる。
夏は燦燦と差す光を目いっぱいに取り込んで明るい空間を生む。窓を開け放って夏のにおいで家を満たす。
日照時間が少ない冬にはさらにこの窓が重要になるだろう。暖炉にも火をともしながら春を待ちわびが、そんな時間も悪くない。
どの季節でも、どの時間でも、お気に入りの場所を探すことができるそんな空間だ。




時期:Summer 2025
記憶の一筆
念願のフィン・ユール邸。
朝いちで行ったので、訪問者もまだほとんどおらず空間を独り占めして過ごすことができた(そもそもルイジアナ近代美術館等と比べると観光客も少ないが、多くの人はまずフィン・ユール邸ではなくオードロップゴー美術館に行くので、ゆっくり見たい方は先にフィン・ユール邸に行くのがおすすめだ)。
一番お気に入りだったのはダイニング。ダイニングテーブルを軸に対照的に配された縦長の窓の向こうには、木々の枝葉が揺れ、なんとも気持ちが落ち着く空間で、しばらくの間そこで佇んでいた。ここで食事をする時間はどんなに素晴らしいだろうか、そんな想像をしてしまう。
旅のスポット基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
名称 | フィン・ユール邸(Finn Juhl’s House) |
所在地 | Vilvordevej 110, 2920 Charlottenlund, デンマーク |
アクセス | クランペンボー駅(Klampenborg)下車(コペンハーゲン中央駅からC線で20分ほど)。そこから388番バスで、Vilvordevej Ordrupgaard下車徒歩5分 |
開館時間 | 土日 11:00–17:00 予約なしで入場可能。木曜と金曜はガイドツアーのみ。 |
入場料金 | DKK 140(コペンハーゲンカードで入場可能) |
終わりに
フィンユール自邸、いかがだっただろうか?
北欧デザインのすべてが詰まっている夢のような空間だった。また違う季節にも訪れてみたいと思う。
この記録があなたの旅の参考になれば嬉しい。
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